「梅本竜氏・トークライブ」ログ&レポート(5)




●05 鯉口(こいくち) (stage2)
う:これは「つばの裏」の事を言いますね。鍔迫り合いの後の表現です。
実はこの曲、20年前に作った曲なのです。
め:え、20年前?
う:この曲は当時学生時代、STGの曲を作りたくて、どこかのメーカーで入れてくれないかな、と思って、アピール用として作り貯めた曲です。
そのストックの中で、ゲームのイメージに合う楽曲を選びました。
正に20年越しのお披露目です。
め:20年越し!?
う:最初はX68000向けで作ったのですが、今はもうこれでは使えないですしね。
め:というと、今回は耳コピならぬ「脳コピ」で作ったのでしょうか?
う:学生時代の就職活動のときに作った曲が、世に出た…という感じですね。
なので、(サウンド)クリエイターを目指す皆さん、曲は作り貯めておいた方がいいです!

●06 栗形(くりがた) (stage3)
う:ネーミングは、刀じゃなくて「さや」になります。
め:この場面で、この中ボスで、曲のサビを入れる、という事はあるかと思いますが、やはり意識はされていますか?
う:意識してますね。
時に処理落ちで何回もリピートしてしまう事もありますが、結果オーライです(笑)

め:そう言えば、素朴な疑問ですが、楽曲作成は、曲を作って演出を出す事と、演出を見て曲を作る事のどちらが多いですか?
う:最初は映像をもらってそれにあわせて作って、ちょっと増えた部分は微調整します。
め:とすると、アニメーションの製作現場に近い部分もありますね。
う:アドベンチャーゲームだと、シナリオ担当にもよりますが、イメージを作り上げたいので、先に曲を下さい、という事はありましたね。
また、作曲にあたって、ディレクターさんが「自由にどうぞ」という事も多いので、このような場合だと打ち合わせもし辛い、というか(笑)
め:ほんと、曲作りは色々と大変過ぎますね。
う:でもやらないと締め切りに間に合わないですし(笑)

う:声優さんのボイスも使っていますので、音楽で容量を取ってしまうと、ボイスのサンプリングレートを下げないといけなくなります。
実はボイス・効果音・音などを含めて、8メガバイトに抑えないといけないのです
め:え、8「メガ」ですか!!今のデジカメだと600万画素で3枚程度しか保存出来ませんよ!
う:その内、音楽は全体で5.5メガバイトですね
め:それで全曲って、無理でしょう!?
う:サンプリングレートを下げた部分を補う為に、基板上のアンプに助けられた部分があります。
楽曲のサンプリングレートは10kもいってないですからね。
め:でも音質的にAMラジオ以下じゃないですよね。
う:そうですね。
め:その一方、家庭用だと、容量制限は厳しくないですよね。
う:そうですね。
め:という事は…音楽の作曲環境でいうならば、家庭用の方が今は恵まれているのでしょうか?
う:そう言えますね。正直、FM音源のように、色々いじってた方が良いですけど(笑)

●07 返角(かえりつの) (stage4)
う:楽曲は、水中と空中で変えないといけないのが大変でした。
楽曲は1分以内で曲を作らないといけなかったのですが、既に空中の部分で1分超えているのですね(笑)
その為、同じ曲を2回流して、ループ時にコーラス等の調整も行い、作っています。
ただ、稼ぎなどの処理落ちで、曲が何回も聞こえてしまいますが。
め:4面まで来ると、プレイヤーもゲームに慣れてきている頃ですし(笑)
う:稼ぐ人は、曲が一周半してあがる人はいますね。
め:(現在プレイしている)てつさんは更に稼いでいますが(笑)

め:そういえば、「赤い刀」とXBOX360の「ぐわんげ」のタイトル曲は、同じテイストで聞こえますね。
う:実は、「赤い刀」を作り終えた後に作曲したのですよ。
め:あ、そうなんですか!?
う:すいません、「赤いぐわんげ」です(爆笑)同じにならないように配慮したんですけど、駄目でした!
め:では360版は「赤いぐわんげ」で呼びましょう(笑)

め:それにしても、てつさんのプレイでこの処理落ち、今までに見た事ないですよ!弾幕がピタッピタッと止まりますよ!
う:基板、燃えますよ(笑)
め:それでは、360版の赤い刀では、どうなるでしょうかね?
う:わざと処理落ちさせないと、避けきれないかもですね!
め:そうかもですね(笑)





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