燃え燃え!シューティングNights!・特別編



トークライブログ(3)



めがぎが(以下「め:」)
九十九百太郎氏(以下「つ:」)




●テクノソフトに入社!
め:九十九さんがテクノソフトに入社されたのはいつ頃ですか?
つ:今から丁度20年前ですね。
め:丁度サンダーフォースIVがリリースされた時ですかね。
つ:そうですね、丁度自分が入った時には、デビルクラッシュMDが進んでいて、IVの開発が始まるかどうかの時期でした。
自分は当時から、メガドライブのFM音源の勉強を延々としていました。
それで、本社の方でアーケード版の基板の方を開発をやってると聞いたので、それでずっとFM音源のパターンもメガドラと基板の音源が違いますので、一番近いであろう、X68000の基板構成で練習してた事もありました。
因みに当時使ってたドライバーは、電波新聞社のOh!Xで使われてたZ-MUSIC※4など、色々使ってましたね。

※4
Z-MUSIC…
現テクニカルライターである西川善司氏が当時開発した、FM音源/ADPCM音源/MIDI機器を制御可能な、X680x0用音源ドライバ。

め:サンダーフォースIVの制作時代はいかがでしたか?
つ:このころはまだ下積み時代でしたね。メガドライブの音源は触ってたんですけど、メガドライブのタイトルに関わる事は殆ど無くて。
この頃は、山西利治氏らと一緒にやっていた時期ですね。
2と3で曲を作ってた方が引退した後のIVは、IIIと比較して、同じ音源・同じドライバーなのに、音が進化して、凄くびっくりして。
この状態から引き継いてVを作らないといけないのか、と思うと、凄いプレッシャーがありまして、、、正直。
め:今のゲーム機はPCMで生音出せますが、この頃はFM音源の音源を使いこなしてから、でしたし。メガドライブは凄いハードでした。
つ:凄かったですね。
メガドライブの時代を振り返ると、トレジャーさんはエイリアンソルジャーで、「何であんな音が出るのか!」と思ったり、
あとベイシスケイプの人(崎元仁氏)が作ってた「テレプシコラ」というドライバが凄くて。
例えばミッドナイトレジスタンスとか…、あれは変態ドライバですよね(笑)
「何であんな凄い音が鳴るの!?」って。未だに分かりませんよ。


●サターン版サンダーフォースVのサウンドがCD-DAであった理由
め:1997年には、サンダーフォースVがリリースされました。
つ:自分が在籍している間に、まさかサンダーフォースのシリーズの曲をやるとは思ってなかったです。
元々ね、皆さんご存知かもしれませんが、私のデビューが、AC版のハイパーデュエルでしたから、まあ、サンダーフォースの続編は先輩たちがやるのかな、と思ってた節があったんですよ。
そうしたら、僕に舞い込んできちゃった、という(笑)
尚且つ、サンダーフォースVになってから、音楽をCD-DAで作る事になって。
最初は内蔵音源で作ろうかな、という話も出たのですが、それは「冗談じゃねーや」と。
ちょっと、俺にはサンプリングする時間も技術もねーよ、という状態で…。
崎元さん位の技術が当時俺にもあれば…と(笑)

そういう事がありまして、リヴァーシオン・スティールダム時代にCD-DAで作るノウハウを積み重ねていたのが役立ちました。
因みに、CD-DAのノウハウの元をたどれば、球転界(ピンボール)からなので、あの頃からCD-DAで作る事を前提としたノウハウでずっとやってた事になりますね。


●サウンド容量との戦い
つ:その時代は、ライブラリの使い方が分かってきた時代でしたが、サウンドの仕様には色々と苦労しました。
プレイステーションのADPCMと比較して、サターンは8ビットPCMの為に、使う容量がサターンの方が倍なんですよ。
例えば、4分位入る曲だと、サターン版だと2分しか入らないんです。
だからその中の方で、どうやって効果音も収録していくか、プログラマーと話し合いながら制作した記憶があります。
(サンダーフォースVの)効果音はどれ位あったかな?全面合わせると、150位あったかな、200超えてたかな?
200超えちゃうと、最終的に自分がどんな音を作ったか、忘れちゃうんですよね(笑)

め:サターン版を制作後、プレイステーションに移植されましたが、その時の苦労話はいかがですか?
つ:8bitPCMからADPCMになる為、サウンド容量が倍になっちゃったので、そうなると何が起こるかというと、上の方から「効果音を追加せよ!」という命令が来る訳です。容量が倍になるんだから、やってくれ、と。
それで、5面冒頭の合体シーンからそのまんま大気圏に突入し宇宙空間にいくシーンで、ブースター音が追加されてるんです。
他にも合体するときの音とか追加されてて、効果音的にはパワーアップしているんですよ。
音声の演出面であれば、プレイステーション版が完成版です。

め:なるほど。その一方、よく言われるのは、演出面では、サターン版が一番との事ですが、如何でしょう?
つ:サターンの場合、BGが無限に出せるのですが、プレイステーション版では無理なんです。
全部ポリゴンでやらないといけないので、ポリゴン欠けちゃうんですよ。
出そうとしたら絶対処理をくっちゃうという。それをどうやってオミットするか、で悩んでました。
め:この辺りの苦労は、一般人からしても分かりづらい部分ですからね。苦労が伺えます。

※5
ADPCMとPCMの違い…
生音を取り込み再生する方式。
PCM方式よりADPCM方式の方が、記録容量を減らし、音質劣化を抑えつつ記録する事が可能である。
セガサターンはPCM方式を採用し、プレイステーションはADPCM方式を採用した。


次回の更新では、「ネオリュード」の裏話から、サンダーフォースV制作時代を更に掘り下げる内容を掲載します。
お楽しみに!


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